◇◆九段坂病院 後期研修プログラム◆◇
●内 科
指導責任者 佐々部正孝(内科部長)
内科の医師は呼吸器3名、消化器2名、内分泌・代謝2名、循環器1名の8名で、他に心療内科2名の医師がいる。病床数は約60床で、外来患者1日平均160人、他に年間6000人の人間ドックを行っている。
日本内科学会の教育関連施設、日本消化器病学会認定施設、日本糖尿病学会認定教育施設、日本アレルギー学会認定教育施設である。
当院は中規模病院で医師数が多くないので完全に専門分科はしておらず、専門以外の患者も担当している。病棟回診、臨床カンファレンス、勉強会、CPCは合同で行っている。
◆後期研修1年目
内科一般、呼吸器、消化器、循環器、内分泌代謝、人間ドックの診療・研修を行う。
◆後期研修2、3年目
選択した内科の専門分野を中心とした診療・研修を行う。希望により心療内科の研修を内科と併行して受けることが可能。入院症例は呼吸器と消化器が多い。
呼吸器は20〜30床、年間入院患者は約250人である。気管支鏡は約150件、東京医科歯科大学呼吸器内科と連携して肺癌の治療、間質性肺炎の診断・治療・研究を行っている。
消化器は10〜15床、年間入院患者数は約200人である。年間の内科の内視鏡数は、上部消化管約1800件、下部消化管約700件、内視鏡的治療は年間約300件。外科と合同で内視鏡カンファレンスを行っており、ESDの研修も可能である。肝癌の治療は肝動脈塞栓療法(TAE)、ラジオ波焼灼療法(RFA,)を行っている。
●心療内科
指導責任者 山岡昌之(心療内科部長)
A 基礎理論
1 総論
1)心身医学科認定医としての心構え、治療的自我の養成
2)患者についての理解患者心理、心身の発達、患者・医師関係など
3)心身医学、心身症の概念および定義
2 心身医学の歴史
3 心身相関の病態
1)情動の身体反応
2)医療心理学の基本
4 行動科学
1)人間の性格、行動と疾患
2)社会、文化的人間論(環境ストレス疾患)
5 精神薬理学の基礎
B 臨床応用
1 心身医学的診断(心身症の診断)
1)病歴のとり方
2)診断
3)鑑別診断
2 心身医学的治療(心身症の治療)
1)心身医学科認定医としての心構え、治療的自我の養成
2)患者についての理解患者心理、心身の発達、患者・医師関係など基礎理論の総論に基づいた治療
3)治療のゴール
4)薬物療法(向精神薬その他)
5)簡易精神療法
6)カウンセリング
7)自律訓練法
8)交流分析療法
9)精神分析的精神療法
10)再養育療法
11)行動療法
12)ライフスタイルの修正
13)他の医療従事者との協力(チーム医療の実践)
3 臨床各領域における心身医学(心身症の治療)
1)プライマリ・ケア医と心身医学
2)内科領域
循環器、呼吸器、消化器、内分泌代謝、神経、アレルギーなど
3)精神科領域 気分障害、不安障害、摂食障害など。
リエゾン精神医学
4)外科、整形外科、婦人科、皮膚科、眼科、泌尿器科、リハビリテーションなどすべての臨床領域
5)生涯各期の心身医学(心身症)小児期、思春期、成人期、老年期
6)死の臨床
7)その他
4 心身医学的治療と保険請求
・・・研修に際しては、特に以下のような点に留意することが望ましい。
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自らの心身両面の健康管理を行い、そのうえで、治療的自我を向上させるように心がけること
A
内科医として基本的な研修を続けること(当院内科では、循環器、呼吸器、消化器、内分泌代謝の研修を心療内科と並行して受けることが可能)
B
医療者として、チーム医療を実践できるようになること
C
患者をbio-psycho-socio-ethicalな面から評価し、全人的医療を実践すること。
D
治療方針について排他的にはならず、患者に適した治療法の選択をたえず柔軟に考えること
●外 科
指導責任者 桜沢健一(外科部長)
1)スタッフ
現在、常勤4名、非常勤(研修医)1名で診療にあたっており、全員東京医科歯科大学外科教室の出身である。常勤医はいずれも日本外科学会の認定専門医であり、うち認定指導医は1名で日本消化器外科学会の専門医・指導医を兼ねている。また1名は日本消化器内視鏡学会指導医・専門医の資格を有している。
2)診療体制
常勤医の専門分野は上・下部消化管、および末梢血管であるが、お互いの専門性を尊重しつつも全員が専門分野にとらわれることなく広範囲の診療をおこなっている。手術日は月・水・木(火・金は主に検査日)、各自週1ないし2日の外来を担当する。200床程度の
小規模であるだけに各科・各部署との連携は緊密で、あらゆる場面で柔軟な協力が得られるのは緊急疾患を扱う機会の多い外科にとっては大変働きやすい環境である。
3)診療内容
一般市中病院として虫垂炎、ヘルニア、痔疾といったcommon
disease
はもとより、食道癌、膵癌を含む悪性疾患、腹部大動脈瘤にいたるまで幅広く手術を行っている。近年はとくに鏡視下手術や下肢静脈瘤手術に力を入れている。また東京医科歯科大学外科教室とは密接な協力体制をしいており、症例によっては手術の支援・指導を仰ぎ、常に最新技術を取り入れるべく柔軟に対応している。
手術以外では内視鏡症例が多く、内科と協同で年間4000例(うち大腸1000例)以上をこなし、EMR・ESDといった内視鏡治療症例も増加の一途をたどっている。一方悪性疾患に対しての化学療法も積極的に行っているが、再発・末期症例も必ず最期まで当院でケアすることをモットーにしている。
4)研修内容と目標
1年次は基本手術手技の習得、病棟管理、侵襲的諸検査の助手、画像診断のトレーニングに充てる。主に良性疾患は術者の機会を与える。2年次には郭清をともなう幽門側胃切除、結腸切除の術者、上下部内視鏡検査の習得を、3年次には胃全摘、低位前方切除、肝切除、腸骨大腿動脈領域血行再建などの術者を目標に研修の指導を行う。
5)おわりに
極論すれば、器用・不器用の差はあれ、外科を志す者なら相応の助手経験があれば数例の術者を経験するだけで基本的な外科技術は身に付くはずである。外科医師としてこの時期に身に付けて欲しいのは単なる技術や知識ではなく、チームの一員として周囲と協力して診療にあたる姿勢と患者に対する責任感である。大きな組織で多数の症例を経験する研修は確かに有意義であろうが、業務に忙殺されるあまり、患者と全人的に向き合うことができなくなっては不幸である。当科での密度の濃い研修に魅力を感じていただければ幸いである。
●整形外科
指導責任者 進藤重雄(整形外科部長)
◆当院整形外科の特殊性
当科は脊椎脊髄疾患に特化しており入院症例はほぼ脊椎脊髄疾患症例であり、外来も専門外来制をとっているわけではないが、外来患者のほとんどは紹介やセカンドオピニオンを求めて受診する脊椎脊髄病をもつ患者である。
それ故当科は日本整形外科学会の研修施設の指定を受けているが日本整形外科学会専門医をとるには当院単独での研修では整形外科疾患をまんべんなく経験できるとはいえない。現在東京医科歯科大学整形外科学教室と連携し、関節疾患、外傷などは他施設で研修し、当院では脊椎脊髄疾患を概ね1年間の経験、学習する研修制度をとっている。
脊椎脊髄疾患の症例数はきわめて豊富であり、希少な症例や難治例の経験も可能であり、整形外科専門医を取得した後、脊椎脊髄病学会脊椎精髄外科指導医の取得を志す医師にとってはまたとない研修病院である。また当院は脊椎脊髄病学会のクリニカルフェローの指定病院である。
◆診療体制
現在は常勤医6名、非常勤1名である。うち日本整形外科学会専門医5名、日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄病外科指導医3名である。手術日は月、火、木、金曜日の午前、午後とも行っている。年間手術件数は約600例で、9割以上は脊椎手術であり、その内訳は頚椎約120症例、胸椎約20症例、腰椎約400症例であり、それぞれの術式に関しても前方法、後方法、固定術併用など万遍なく行っている。
◆研修内容
脊椎脊髄疾患の概念、診察法、診断法の基本についての習得、治療方針の論理的決定の方法をマスターし、脊髄造影、椎間板造影、神経根ブロックなど検査法の適用方針、技術手技を学ぶ。手術は脊椎脊髄手術の除圧法、固定術の基本的手技を学習し、除圧手技は習得することを目標とする。
更に脊椎脊髄病外科指導医の取得を目標とする者には症例数を積むと共に、脊椎矯正術、脊髄腫瘍、頚椎前方除圧固定術など更に高度な手技の習得を目標とする。
◆おわりに
これからも社会全体の高齢化は進行しますます脊椎疾患、関節疾患など整形外科的慢性疾患のますます増加すると予想される。特に脊椎脊髄疾患は耐え難い疼痛、麻痺など重大な機能障害を引き起こし、患者の不自由さ、苦痛は非常に高度である。従って質の高い、結果の良好な治療が求められている。当科では良好な治療成績を得られるように診断、治療手技の研鑽を日々努力するとともに、患者が再び社会復帰、家庭に戻れるまで治療を行うことを目標としている。